陸上貨物運送事業労働災害防止計画

 

荷役運搬作業におけるリスクを低減し、

陸運業に働く人々の安全と健康の確保をめざして

 

1.計画のねらい
 平成10年度を初年度とし、平成14年度を目標年度とした先の労働災害防止計画期間中において、陸上貨物運送事業における死亡災害は、「陸災防・死亡災害絶滅チャレンジ00(ゼロゼロ)運動」等の実施により、計画後半の平成13年、14年は、2年連続の減少となり一定の成果をあげることができた。しかし、死亡災害では、交通労働災害が、約7割を占めるとともに、死傷災害では、荷役作業中の墜落・転落災害及び荷役機械による災害が約7割の高率を占める等の状況が依然として続いている。
 他方、陸上貨物運送事業においては、近年、規制緩和に伴い、事業の新規参入が増加するとともに、物流システムの見直しや輸送サービスの多様化が進められるなか、荷主の二一ズの多様化等を背景として、長距離運行業務等の労働負荷の大きい業務が多く行われており、労働者の健康面や労働災害防止面に影響を及ぼし、腰痛症の発症や、過労運転による交通死亡災害の発生等の問題を惹起している。
 このような陸上貨物運送事業における労働災害の発生状況及び、平成15年度を初年度とし、平成19年度を目標年度とする、国の「第10次労働災害防止計画」を踏まえて、計画的かつ効果的な対策の推進を通じて、労働災害発生のリスクの低減を始めとする陸上貨物運送事業における労働災害防止活動の水準の向上を図るために、「陸上貨物運送事業労働災害防止計画」を策定するものである。

2.計画の期間
 本計画は、平成15年度を初年度とし、平成19年度を目標年度とする5ヵ年計画とする。

3.計画の目標
 @労働災害による死亡者数の減少傾向を竪持するとともに年間200人を下回ることを目指し、一層の減少を図る。
 A計画期間中の労働災害総件数を20%以上減少させる。
 B過重労働による健康障害の防止及び腰痛症の着実な減少を図る。

4.労働災害防止のための主要対策
(1) 交通労働災害の防止
 交通労働災害の防止を図るためには、走行管理、労働時間管理、安全衛生管理が一体となった事業者による取組みが重要であるので、引き続き、モデル・事例研究会の開催及び交通労働災害防止指導員による指導等を通じて、交通安全運転マップ等を活用した走行管理を始めとする「交通労働災害防止のためのガイドライン」を重点とした交通労働災害防止対策を推進する。
(2) 荷役作業の安全化の確保等
 荷役作業中の労働災害のうち、特に多発する、「墜落・転落」、「はさまれ、巻き込まれ」、「飛来・落下」災害及び荷役運搬機械による災害を減少させるため、作業主任者、作業指揮者及び就業制限業務従事者の適正配置等を通じて、安全な作業方法の徹底を図るとともに、安全な作業環境の整備促進を図る。
 このため、安全作業マニュアルの整備を進めるとともに、同マニュアルを用いた教育を推進する。
 また、荷主等に対し、荷の積卸しにかかる発注条件の適正化に向けた取組みを行う。
(3)健康確保等対策の推進
 労働者の健康確保を図るため、次の対策を推進する。なお、対策の推進に当っては、産業医その他の産業保健関係者を支援する産業保健推進センター及び小規模事業場に対し産業保健サービスを提供する地域産業保健センターの活用を図る。
 @ 一般健康確保対策
  ア 長時間の運転業務及び深夜業を含む運転業務等に従事する労働者を重点として、定期健康診断の完全実施と事後措置の徹底を図る。
   なお、睡眠時無呼吸症候群等注目される疾病対策については、情報の収集、提供等、その適切な対応に努める。
  イ 労働者の心身両面にわたる積極的な健康保持推進対策の推進を図る。
 A 職業性疾病予防対策
  ア 重量物の取扱業務及び長時間運転業務に従事する労働者の腰痛予防を図るため、「職場における腰痛予防対策方針」に基づく対策を推進し、腰痛等の減少を図る。
  イ 荷役運搬作業中における、化学物質のばく露等による健康障害を防止するため、危険有害性の事前確認を始めとする労働衛生対策の推進を図る。
  ウ 過重労働による健康障害の防止対策の推進を図る。
(4) 安全衛生教育の推進
  作業内容及び作業環境等の変化に対応した安全衛生教育の推進を図るとともに、就業制限業務従事者、作業主任者、作業指揮者及び現場作業者等に対する安全衛生教育においては、危険に対する感受性を高め、緊急時における対応力を育成するため、講習内容等の充実を図る。
(5) 安全衛生意識の高揚等
  全国安全・労働衛生週間、夏期・年末年始労働災害防止強調運動、労働災害防止大会、全国フォークリフト大会及び各種表彰制度等を活用し、安全衛生意識の高揚等に努める。
(6) 労働安全衛生マネジメントシステムの導入促進「陸運業における労働安全衛生マネジメントシステムガイドライン」リクムス(RIKMS)を活用して導入促進を図るとともに、リスクアセスメントを効果的に実施するためのマニュアルの策定等により、陸上貨物運送事業における中小規模事業場の自主的な安全衛生管理の促進を図る。
(7) 調査、研究活動等の推進
  ア 事業者等の二一ズを踏まえた、有効な支援サービス等各種調査研究活動の推進を図る。
  イ 陸上貨物運送事業特有のリスク低減対策及び道路上の工事現場に誤って進入した自動車による交通事故防止対策等新しい課題に対応した調査研究を実施する。