本日、ここに第三十七回全国陸上貨物運送事業労働災害防止大会が開催されるにあたり、一言お祝いを申し上げます。
はじめに、陸上貨物運送事業労働災害防止協会におかれましては、かねてよりトラック運送事業における労働災害防止活動を積極的に推進され、多大の成果をあげてこられたことに対し、深く敬意を表するものであります。
トラック運送事業は、その事業の性格上、交通事故をはじめとする労働災害の危険と隣り合わせであり、
一たび事故がおきると一般の人や車両まで巻き込んだ重大な結果に結びつきやすく、また、長時間にわたる交通の遮断など、
社会に与える影響も大きなものとなります。

近年の交通事故の状況をみますと、様々な対策により死者数が九千人程度まで減少してきたものの、発生件数、
負傷者数とも増加傾向にあり、平成十一年には初めて百万人を突破し、さたに増加しており極めて深刻な状況にあります。
国土交通省におきましても、従来から運行管理者や整備管理者に対する研修等を通じて、運行管理や車両管理の適正化を図ると共に、
貨物自動車運送適正化事業実施機関である全日本トラック協会とも連携して、過労運転や過積載等に対する指導・処分を強力に推進することなど、交通事故の防止に努力しているところであります。
この九月には「貨物自動車運送事業輸送安全規則」の一部改正を施行し、乗務員の健康状態の把握や、運転者台帳の充実等をはじめとして、輸送の安全確保に万全を期するよう安全対策の強化を図っております。
過積載問題につきましても、荷主関係の団体を含め「しない・させない・過積載」との認識のもと、関係省庁と連携の上、
ご協力をお願いしているところです。
本大会のご参加の皆様におかれましても、労働災害の防止に全力を挙げて取り組んでいただくよう心よりお願い申し上げます。
また、本日は、労働災害防止に多大な貢献をされた方々に対し、表彰が行われると伺っておりますが、皆様方の長年のご功績がみとめられたものであり、衷心よりお祝いを申し上げます。
今後とも、その貴重な経験を生かし、トラック運送事業の発展のためにご尽力を頂きますようお願いしますとともに、貴協会並びに会員各位の益々のご発展と、ご列席の皆様方のご健勝を祈念いたしまして、祝辞とさせていただきます。

                                                                 平成十三年十一月十五日
                                                                  国土交通大臣 扇 千景