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平成23年年頭所感

厚生労働省 労働基準局長  金 子 順 一

 

  あけましておめでとうございます。
  新年を迎え、皆様の御健康と御繁栄を心からお祝い申し上げます。
  昨年の労働災害による死亡者数は、10月までの速報値で867人であり、前年同期と比較し13.6%の大幅な増加となりました。災害の態様をみると、昨年の記録的な猛暑により熱中症が多く発生したほか、建設業の墜落・転落災害や陸上貨物運送事業の交通労働災害の増加が目立っております。このような労働災害の増加傾向に歯止めをかけるべく、関係事業者に対する指導、労働災害防止に係る広報の強化等の緊急対策を講じたところです。

  本年も働く方々の健康や生活を守るため、こうした対策に引き続き取り組むとともに、次のような施策を中心に労働基準行政に取り組んでまいります。

  第一は、最低賃金についてです。 
  昨年6月3日の雇用戦略対話において、2020年までの目標として、「できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、全国平均1,000円を目指すこと」が政労使で合意されました。この合意を受け、平成22年度地域別最低賃金は、全国加重平均で前年度比17円増と大幅な引上げとなりました。
  本年は、引上げの影響を最も受ける中小企業に対し支援措置を講じながら、労使関係者との調整を行いつつ、最低賃金の引上げに向けた取組みを進めてまいります。また、昨年に続き、インターネット等を活用した周知の徹底や、最低賃金に関し課題が多いと考えられる地域、業種等を重点的に指導も行ってまいります。

  第二は、有期労働契約の在り方についての検討です。
  いわゆる非正規労働者は全労働者の三割を超えており、非正規労働者が安心して働き続けられるようにするための対策や有期労働契約が適正、公正に活用されるための新たなルールづくりの必要性が高まっています。
  このため、有期労働契約について、論点ごとに様々な選択肢と課題を学識経験者に整理いただいた「有期労働契約研究会報告書」を受け、昨年10月から、労働政策審議会労働条件分科会において、有期労働契約の在り方についての議論を開始しました。
  本年も引き続き、有期契約労働者の雇用の安定、公正な待遇が図れるようルール作りに向けて検討を進めてまいります。

  第三は、働く方々の健康確保対策についてです。
  自殺者数は年間3万人を超え、うち3割が労働者です。また、強いストレスを感じている労働者が約6割もいるにもかかわらず、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は低い状況にあります。今後、労働者のストレスへの気付きを促すとともに、職場環境の改善につなげる新たな枠組みを導入し、職場におけるメンタルヘルス対策の取組を推進してまいります。
  また、職場における受動喫煙の問題については、国際的にたばこの煙の有害性が指摘されていること、職場における受動喫煙に対する労働者の意識が向上していることも踏まえ、今後、労働者の健康被害防止の観点から、職場における受動喫煙防止対策の抜本的強化に取り組んでまいります。

  第四は、労災保険業務の推進についてです。
  労災保険は、被災労働者やその遺族の方々に対する迅速な保護を目的としていますが、精神障害の労災認定においては業務が原因であるか否かの判断が難しく、審査が長期化する傾向にあります。このため、現在、専門家による検討会を開催しており、本年夏を目途にとりまとめ、精神障害の労災認定について必要な見直しを行ってまいります。

  また、労働基準監督署に来署された方に、丁寧で分かりやすい説明を行うとともに、申請後の処理状況を連絡する、労災認定されなかった事案の理由を丁寧に説明するなど、窓口業務の改善を推進しており、納得性のある行政の実現に努めてまいります。
なお、昨年12月には、事業主の労働保険加入状況をどなたでもインターネットで確認できるように整備いたしました。これにより、未手続事業の解消に寄与することを期待しております。

  このほか、長時間労働を抑制し、仕事と生活の調和がとれた社会を実現するため、昨年4月に施行された改正労働基準法についてあらゆる機会を通じて周知を図り、時間外労働に対する割増賃金の支払等が適切に実施されるようにするとともに、事業主等が長時間労働の抑制などに取り組むための指針である「労働時間等見直しガイドライン」についても周知啓発を図ってまいります。

  依然として厳しい雇用失業情勢の下で、雇用や働き方をめぐる不安がかつてないほど高まりをみせる中、職員一同、全力で労働基準行政に取り組むこととしておりますので、今後とも一層の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。