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平成24年労働基準局長年頭所感

厚生労働省労働基準局長  金 子 順 一

  あけましておめでとうございます。
  新年を迎え、皆様の御健康と御繁栄を心からお祝い申し上げます。

  昨年は、3月11日に発生した東日本大震災により多くの労働者の方々が被災しました。平成23年の死亡者数は、震災を直接の原因とする災害を除いて、11月7日現在の速報値で749人と、前年同期と比較して14.5%減少しましたが、休業四日以上の死傷者数については、二年連続で増加するおそれがあります。現在の厳しい経済情勢の下で、企業を巡る環境は厳しさを増し、企業の安全活動が十分に機能していないことも危惧されることから、労働災害防止対策の実効ある推進を期す必要があります。

  本年も働く方々の健康や生活を守るため、労働基準行政としては、次のような施策を中心に取り組んでいきます。

  第一は、東日本大震災への対応についてです。
  震災復旧・復興工事での安全対策は、雇用対策と表裏一体をなす最優先課題であり、都道府県労働局等による指導、専門家による支援、近接して行われる工事関係者相互の連絡協議の枠組み作りなどにより、今後本格化する復旧・復興工事に伴う労働災害防止対策に万全を期します。
  東京電力福島第一原発事故については、事故収束作業に従事する方々の被ばく線量管理や健康管理に引き続き万全を期すとともに、作業員の被ばく線量等をデータベース化し、長期的な健康管理を実施していきます。
  また、除染作業に従事する方々の放射線障害を防止するための新たな規則とガイドラインを昨年末に制定しました。被ばく線量管理等の対策が適切に実施されるよう指導していきます。

  第二は、有期労働契約の在り方についての検討です。
  有期労働契約で働く方々の実態は、非常に多様ですが、一般的には、正社員と比べ、雇用が不安定、待遇等の格差、職業能力形成が不十分等の課題が指摘されてきました。
  有期労働契約の在り方については、労働政策審議会労働条件分科会で一年以上にわたり労使で真摯にご議論いただき、有期労働契約で働く方々の不安を取り除き、安心して働き続けるための施策について、一定の方向性を示していただきました。これを踏まえ、関係法案の提出に向け、引き続き尽力していきます。

  第三は、働く方々の健康と安全の確保対策についてです。
  @職場のメンタルヘルス対策、A電動ファン付き呼吸用保護具の型式検定等の対象への追加、B職場での受動喫煙防止対策の3点を盛り込んだ労働安全衛生法の改正法案を昨年の臨時国会に提出しました。これにより、働く方々の健康確保対策の一層の充実を図っていきます。
  また、昨年は、「安全から元気を起こす戦略」を取りまとめ、安全な職場づくりに熱心な企業を応援する「あんぜんプロジェクト」を立ち上げました。本年もその一環として、「『見える』安全活動コンクール」、「あんぜんシンポジウム(仮称)」を開催するなど、引き続き安全活動に関する社会的な理解が得られるよう努力していきます。

  第四は、職場のいじめ・嫌がらせ問題についてです。
  近年、職場のいじめ・嫌がらせ問題が社会的な問題として顕在化してきたことを受け、昨年七月に「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」を設置しました。本年度内を目途に職場のいじめ・嫌がらせ問題の防止等に向けた提言を取りまとめ、来年度には、国民的機運を醸成するための周知広報や職場のいじめ・嫌がらせ問題の実態把握にも取り組んでいきます。

  第五は、看護師等の「雇用の質」の向上に向けた取組についてです。
  看護師等が魅力ある職業となるための「職場づくり」「人づくり」「ネットワークづくり」を厚生部局と労働部局が共同して推進するため、各都道府県で、地域の医療関係者等による連絡協議の場を運営し、医療機関の労務管理担当者を対象とした研修会を開催するなど、医療従事者の勤務環境の改善に向けた効果的な取組を強化・継続していきます。

  第六は、労災保険業務の推進についてです。
  精神障害の労災認定については、業務が原因であるか否かの判断が難しく、審査が長期化する傾向にありました。このため、昨年11月の専門家による検討会報告書に基づき、新たに「認定基準」を策定することにより、審査期間の短縮や、労働者から適切に労災請求が行われることで、認定の促進が図られることを期待しています。
  また、本年は三年に一度の労災保険率の見直しの年となります。新たな労災保険率は来年度から適用する予定ですが、平均労災保険率は前回改定時の1,000分の5.4から1,000分の4.8へ引き下げとなります。
  さらに、事業主の利便性の向上等を期するため、労働保険料の口座振替制度の対象を全事業主へ拡大することとしました。これにより、事業主の利便性と、労働保険料の収納率の向上等に取り組んでいきます。

  依然として厳しい雇用失業情勢の下で、雇用や働き方をめぐる不安がかつてないほど高まりをみせる中、職員一同、全力で労働基準行政に取り組むこととしておりますので、今後とも一層の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。