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平成29年 安全衛生部長 年頭所感

厚生労働省労働基準局安全衛生部長 田中誠二

  明けましておめでとうございます。新年を迎え、皆様の御健康と御繁栄を心からお祝い申し上げます。
  平成29年の念頭に当たり、改めて日頃の労働安全衛生行政へのご支援とご協力に厚く御礼申し上げますとともに、今後の安全衛生行政の展開について述べさせていただきます。
  まず、労働災害の防止についてです。
  平成29年度は、平成24年度を初年度とする5か年計画である第12次労働災害防止計画(12次防)の最終年度となります。
  12次防では、平成29年までに平成24年と比較して死亡災害及び休業4日以上の死傷災害を15%以上減少させることを目標としているところです。死亡災害については着実に減少し、平成28年11月末速報値では平成24年比で約17%の減少となっているものの、休業4日以上の死傷災害は約3%の減少にとどまっており、目標達成のためには相当の取組が必要となっています。
  特に、労働災害が増加傾向にある第三次産業(小売業、社会福祉施設、飲食店)においては、複数の店舗、施設を展開する企業傘下の事業場での災害が多く見られており、この原因として、各店舗・各施設には安全衛生担当者がいないなど店舗・施設単位での安全衛生活動が十分に実施されていない状況が見られます。このため、本年より企業・法人全体の安全意識を高め、本社・本部が主導して全社的に災害防止の取組を行い、安全衛生水準の向上を図ることを目的とした「働く人に安全で安心な店舗・施設づくり推進運動」を展開してまいります。
  また、製造業においては、コンピューター制御技術の進展を踏まえ、新たに制御の機能を付加することで安全を確保する方策である「機能安全」に係る技術上の指針等を定めたところであり、機械等による災害防止のため、その普及を図ってまいります。建設業においては、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた施設建設工事の安全衛生対策の推進、陸上貨物運送事業においては、引き続き多発している荷役作業における労働災害防止の徹底など、重点業種における取組を加速するなど、12次防の目標達成に向けて全力で取り組んでまいります。
  次に、メンタルヘルスや過重労働による健康障害防止対策についてです。
  昨今、過重労働の問題が大きく取り上げられていますが、働き過ぎから心身の健康を損なうようなことはあってはならないことです。厚生労働省では平成27年12月から、医師等による心理的な負担の程度を把握することを目的としたストレスチェック制度を施行し、事業者の皆様に取り組んでいただいているところですが、今般、「「過労死等ゼロ」緊急対策」をとりまとめ、取組の一環として、長時間労働される方に対する産業医による面接指導等が着実に実施される仕組みの構築やメンタルヘルス対策に係る企業本社に対する特別指導など働く方のメンタルヘルス対策・過重労働による健康障害防止対策をより充実させてまいる所存です。
  申し上げるまでもなく、生産性向上や組織の活性化のためには働く方が健全であることが必要不可欠であり、この観点から事業者の皆様にも、心身の健康づくりのための取組を推進していただきたいと思います。
  次に、化学物質対策についてです。
  昨年、化成品等の製造事業場において、化学物質を取り扱う複数の方が膀胱がんを発症する事案が発生しました。平成24年には、ご承知のとおり印刷業において多くの労働者が胆管がんを発症する事案が明らかになっています。新たな職業がん事案が続いて明らかになったことを受け止め、化学物質対策の徹底に取り組んでまいります。
  多種多様な化学物質による健康障害防止のためには、昨年6月から義務化された化学物質のリスクアセスメントが重要な役割を果たします。厚生労働省においては、「ラベルでアクション」を合言葉に、ラベル表示と安全データシート(SDS)の入手・交付の徹底を図るとともに、リスクアセスメントの実施の推進に取り組んでまいります。
  最後に、現在検討中の「治療と仕事の両立」についてです。
  現在政府では「働き方改革実現会議」において、「治療と仕事の両立」の推進について検討しております。厚生労働省では昨年2月に「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を策定したところですが、今後、企業文化の改革、企業と医療機関の連携強化、患者に対する相談支援の充実などにより、治療と仕事の両立が普通にできる社会を目指して取り組んでまいります。
  以上のように、安全衛生行政として取り組むべき課題は山積しておりますが、働く方の安全と健康の確保について、厚生労働本省・都道府県労働局・労働基準監督署も含め、行政一丸となって、労働災害防止団体や関係団体の皆様とも連携し、全力で取り組んでまいりますので、引き続き、皆様方の一層の御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。