新しい年を迎えて(平成22年)

陸上貨物運送事業労働災害防止協会会長  岡 部 正 彦

 

 明けましておめでとうございます。
 会員事業場の皆様には、日頃、陸運業で働く人々の安全と健康の確保にご尽力をいただき、深く感謝申し上げます。
 また、関係行政機関並びに関係団体の皆様には、当協会の事業運営に格別のご指導・ご支援をいただいておりますことに厚く御礼申し上げます。

 さて、陸運業における労働災害の発生状況をみますと、長期的には、減少の傾向にあります。特に、死亡者数は、皆様方のたゆみないご尽力もあり、平成18年に初めて年間200人を下回りました。さらに、平成20年には年間150人を下回るに至り、昨年も速報値では同様の減少傾向がうかがえます。
 しかしながら、死亡者数と4日以上の休業者数を合計した死傷者数は、平成14年以降年間1万3千人台にまで減少してきているなかで、平成18年・19年ではわずかながらも前年を上回り、また、平成20年は1万4千人台を超える結果となりました。この数年で、横ばい、あるいは増加の傾向に転ずるのではないかと懸念されているところでありますが、昨年については、速報値から推計しますと、一転して1万3千人前後へ減少するのではなかろうかと思われます。
 健康面をみますと、陸運業では、定期健康診断における有所見率が増加傾向にあり、また、全産業平均と比べて若干高めとなっています。また、脳・心臓疾患による労災補償の認定件数が全産業のなかで最も多いという状況にあります。

 当協会では、陸運業の「労働災害防止5か年計画」(平成20年度〜24年度)に基づき、本部、支部、会員事業場の皆様方が一丸となり、「交通労働災害の防止」、「荷役運搬作業における安全の確保」、「健康確保対策の推進」等を重点として、労働災害防止活動を展開してきておりますが、平成22年度は、この計画の中間年度となります。
 死亡者数が減少してきているとはいえ、今なお多くの方々が亡くなっておりますことから、死亡災害の絶滅を目指していくとともに、死傷災害の横ばいないし増加の傾向に歯止めをかけ、大幅な減少の傾向に転じさせていくこと、また、過重労働による健康障害の防止など働く人々の健康の確保を図っていくことが必要であり、この中間年となる平成22年を迎えて、決意も新たに、さらに積極的に労働災害防止活動を展開してまいりたく存じます。

 特に、「交通労働災害防止のためのガイドライン」の周知・徹底や新たに取りまとめられた「ITを活用したリアルタイム遠隔安全衛生管理手法」の周知・普及を通じての交通労働災害の防止、「リスクアセスメントイラストシート」、「安全作業連絡書」、「荷役作業時における墜落・転落災害防止のための安全マニュアル」等の活用を通じての荷役運搬作業における労働災害の防止、そして、定期健康診断の確実な実施と事後措置の徹底、過重労働防止対策や腰痛予防対策の徹底等を通じての健康保持増進対策などに重点を置いて、労働災害防止活動を推進していくこととしております。

 また、労働災害の防止を図るためには、各企業・事業場で、労働安全衛生関係法令を遵守することはもとより、職場の安全衛生管理体制を確立して適切に機能させていくことや、自主的な安全衛生活動を継続的・効果的に行っていくことが必要不可欠です。引き続き、当協会では、日常の「ヒヤリ・ハット活動」、「危険予知活動(KY活動)」等の取組みの普及・浸透を図っていくとともに、職場に潜む危険を見つけてその危険性を低減させ、安全度の高い職場を実現させる組織的・継続的な取組みである「リスクアセスメント」や「労働安全衛生マネジメントシステム」の周知・普及に努力を重ねてまいることとしております。

 陸運業界は、物流ニーズの多様化が進む中で、国内外にわたる経済不安や景気後退に直面し、さらに、近年の燃料価格の乱高下、長年にわたる運賃水準の低迷やコストの増大等様々な課題を抱え、厳しい経営環境下にありますが、陸運業が物流の中核としてわが国の経済活動と国民生活を支えているという機能を今後とも果たしていくうえでも、そこで働く人々の安全と健康を確保していくことが必要不可欠であります。

 会員事業場の皆様には、引き続きのご理解とご尽力を賜りますようお願い申し上げますとともに、「年末・年始労働災害防止強調運動」(12月1日〜1月31日)が実施されておりますこの時期に、それぞれの事業場・職場における労働災害防止のお取組みになお一層のご高配を賜りますようお願い申し上げます。

 終わりに、この一年が希望と気力に満ちた良き年となりますよう祈念しますとともに、皆様方のご多幸とご発展をお祈り申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。